専門医への紹介
専門医への紹介は、かかりつけ医の重要な役割の一つです。専門的な検査を要する診察や専門治療が必要な場合、適した施設への紹介を行っています。西東京市医師会をはじめ、連携をいただいている施設への紹介を中心に、幅広く専門医への紹介を行います。ご相談ください。
- 近隣の専門医のいる連携しているクリニックへの紹介
- 近隣の専門医・専門治療を行っている病院(専門病院・総合病院・大学病院など)への紹介
- セカンド・オピニオン
必要な病状によって、当院で診療情報提供書、経過や検査結果を記載・添付します。各分野で適切と思われる紹介施設への受診の予約を取ります。受診した際には、紹介先から病状の報告をいただき、今後のかかりつけ医としての診療に役立てながら、専門医と連携して診察にあたります。
循環器内科では、主に下記のような場合、連携医療機関へご紹介します。術後の経過観察、継続治療は専門施設と一緒に行います。
- 入院を要する心不全、心不全の原因を調べるための精密検査
- 心臓弁膜症などの外科的手術治療、カテーテル治療を要する場合
- 狭心症や心筋梗塞などの緊急治療を要する場合
- 心房細動などの頻脈性不整脈に対するカテーテル・アブレーション
- 洞不全症候群・房室ブロックに対するペースメーカー
医療連携
かかりつけ医の機能を十分に発揮するため、当院は近隣の大学病院や専門施設と医療連携を図っています。大学病院、専門施設に受診していた患者様は当院で継続して専門的な治療を継続して受けられるように、連携を取ります。また、当院では十分な検査、治療ができないことは近隣のクリニックとも連携します。精密検査、入院治療、画像診断が必要な場合、連携医療機関をご紹介することができますので、お気軽にお問い合わせください。
無症状なことが多い慢性腎臓病や糖尿病では、専門医への紹介基準をガイドラインで示しています。以下の状態を参考に、専門医への紹介を進めることがあります。
腎機能低下を指摘されたら
健康診断などで腎機能低下を指摘されたら
腎機能は自覚症状がでるころには非常に状態の進んだことになる病気です。そのため、健康診断などで定期的にチェックすることが重要です。
高血圧症や糖尿病、痛風の原因になる高尿酸血症などの生活習慣病だけでなく、さまざまな疾患が腎機能障害の原因になります。
腎機能が低下している場合、薬剤の副作用が懸念されたり、より腎機能を悪化させる可能性があります。このため、定期的にチェックする必要があります。
従来,腎臓の病気は様々に分類されていて,患者さんにとっては分かりにくいもものでした。エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(作成:日本腎臓学会、監修:日本医師会)によれば,下記に該当するCKDは腎臓専門医へ紹介し,連携して診察すると記載されています。
腎臓専門医への紹介基準
- 健診 → かかりつけ医 への受診を勧める基準
□かかりつけ医への受診を勧奨:経過観察が重要です。ほかの併存疾患がないか確認します。
① eGFR60以上、かつ、蛋白尿(±) ② eGFR45-59、かつ、蛋白尿(-)
□ かかりつけ医、または、腎臓専門医への受診を強く勧奨する
① eGFR60以上、かつ、蛋白尿(+)以上 ② eGFR45-59、かつ、蛋白尿(±)
③ eGFR30-44、かつ、蛋白尿(-)
- かかりつけ医 → 腎臓専門医
□ 腎臓専門医への受診を強く勧奨する:精密検査を行うため、連携医療機関にご紹介する場合があります。
① eGFR45-59、かつ、蛋白尿(+)以上 ② eGFR30-44、かつ、尿蛋白(±)以上
③ eGFR30未満(蛋白尿区分を問わない)
□ eGFR45未満、または、蛋白尿(+)以上
□ eGFR45-59で、以下の条件を満たす場合
① 蛋白尿(-)、かつ、40歳未満
※ 40歳以上は、かかりつけ医での生活指導・診療継続
② 蛋白尿(±)
□ eGFR60以上、かつ、蛋白尿(±)で、血尿(+)
※ 血尿(-)ならば、かかりつけ医での生活指導・診療継続
□ 3カ月以内に30%以上の腎機能の悪化を認める
糖尿病の治療について
高血糖や糖尿病を指摘されたら
健康診断では、通常、食事をせずに2時間以上空けて(空腹時に)採血を行っています。空腹時血糖値は109mg/dlまでが正常値です。ただし、100-109mg/dlは正常高値といわれ、詳しく調べると、糖尿病の場合や糖尿病予備軍の可能性があります。健康診断を食後に受けた場合、血糖値(食後血糖値)が空腹時の血糖値より高くなることがあります。ただし、食後の血糖値 でも140mg/dlを超えていた場合は、糖尿病や糖尿病予備群の可能性があります。これらの場合には詳しく調べる必要があります。
血糖値と一緒にHbA1c(1、2か月の血糖の平均を示す数字)が検査されていると、正常なのか、糖尿病予備軍なのか、糖尿病なのか判定できます。尿検査とともに定期的にチェックする項目です。
空腹時血糖値100-109mg/dlは、血糖値が正常高値、《血糖値がやや高め》ということです。この範囲の場合、正常の方もいらっしゃいますが、糖尿病の方や糖尿病予備軍の方(境界型)もいらっしゃるので、正確に診断するために、ブドウ糖負荷試験が必要になります。
ブドウ糖負荷試験
75gのブドウ糖を飲んでいただき、その後、30分後、60分後、120分後の血糖値を測定します。血 糖値の上がり方をみると、正常なのか、糖尿病なのか、糖尿病予備軍なのかを判定します。糖尿病でない方が、糖尿病になるときには、空腹時血糖値よりも食後血糖値のほうが先に上がってくることが多いため、空腹時血糖値が正常範囲内で も、食後の血糖値が高く、実は糖尿病ということがあります。糖尿病を早期に発見するためには、空腹時血糖値だけでなく、ブドウ糖負荷試験を行ったり、食後に血糖値を測定します。
ブドウ糖負荷試験が推奨される場合
1. ブドウ糖負荷試験が強く推奨される場合(現在糖尿病の疑いが否定できない)
空腹時血糖値が110-125mg/dl
随時血糖値が140-199mg/dl
HbA1cが6.0-6.4%(明らかな糖尿病の症状がある人を除く)
2. ブドウ糖負荷試験を行うことが望ましい場合(将来糖尿病を発症するリスクが高いグループ、高血圧、脂質異常症、肥満など動脈硬化のリスクを持つものは、特に施行が望ましい)
空腹時血糖値が100-109mg/dl
HbA1cが5.6-5.9%
上記を満たさなくても、濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在するもの
(日本糖尿病学会 編・著 糖尿病治療ガイドより引用)
空腹時血糖値110-125 mg/dlは、《空腹時血糖値が正常範囲》を超えています。糖尿病または糖尿病予備軍(境界型)と思われますが、正確な診断のため、ブドウ糖負荷試験やHbA1cの検査が必要です。
空腹時血糖値126mg/dl以上は、《糖尿病の可能性がかなり高い状態》ですので、受診していただき検査を実施する必要があります。今回が初めてであれば、糖尿病でない可能性もありますが、糖尿病の症状があったり、HbA1cが6.5%以上であったり、すでに目に合併症が出ている場合は糖尿病です。HbA1cが6.5%未満で、症状がない場合でも、糖尿病の可能性が高いため、精密検査を行い治療を開始しましょう。
食後の採血であっても、血糖値140mg/dlを超えている場合、詳しく調べることをお勧めします。通常はより早期に血糖値が正常値へ低下しますが、その力が低下している可能性があるためです。
糖尿病専門医への紹介基準
1. 血糖コントロール改善・治療調整
血糖コントロールは下記のような血液検査の指標を用いて管理します。一般的に食事療法や運動療法、減量を行いながら、定期的に血液検査をチェックします。この結果に応じて内服薬を使用することがあります。血糖コントロールが困難な場合などではインスリン注射が必要になることがあります。当院ではインスリン注射の導入は実施しておりませんので、専門医への紹介を行っています。(安定している患者さんの調整は行います、ご相談ください。)
目標 | 血糖正常化を目指す際の目標 | 合併症予防のための目標 | 治療強化が困難な際の目標 |
HbA1c | 6.0 (%) | 7.0 (%) | 8.0 (%) |
① 薬剤を使用しても十分な血糖コントロールが得られない場合、あるいは次第に血糖コントロール状態が悪化した場合(目標達成できない状態が3か月以上持続)
② 新たな治療の導入時(血糖降下薬の選択)に悩む場合
③ 1型糖尿病などの場合
④ 低血糖発作を繰り返す場合
⑤ 妊婦へのインスリン療法を検討する場合
⑥ 感染症合併
2. 教育入院
外来で十分に指導ができない場合、特に診断直後の患者さんや教育入院経験のない患者さんでは、教育入院の必要性を考慮し、専門医への紹介いたします。教育入院するかどうかは、専門医の判断に委ねますので、良くご説明をうかがうようにしてください。
3. 慢性合併症
糖尿病は重要な合併症を起こすことが知られています。目の病気(糖尿病性網膜症)や神経障害(糖尿病性神経症)、腎臓病(糖尿病性腎症)、心臓病(冠動脈疾患や末梢動脈疾患、心房細動などの不整脈)、脳血管疾患などが挙げられます。これら合併症にハイリスクな患者さんは、これらのチェックを含め専門医への紹介することがあります。
腎機能低下や蛋白尿(アルブミン尿)がある場合には、前述の腎臓専門医への紹介基準により、ご紹介することがあります。
4. 急性合併症
糖尿病性ケトアシドーシスやケトン体陰性でも高血糖(300mg/dl)高血糖で、高齢者などで脱水徴候が著しい場合、高浸透圧症候群の可能性があるため緊急移送を行います。
5. 手術
予定で行われる待機手術の場合には日ごろの診療状態やデータを診療情報提供書として共有いたします。また、緊急手術時には、できるだけ早く情報提供いたしますので、ご連絡ください。