「気づかないうちに進行する心不全」
専門医の診療で早期発見・重症化を予防
心不全は命にかかわる病気ですが、早期に適切な診断と治療を行うことで進行を抑え、生活の質を保つことができます。当院では循環器専門医が心不全の早期発見と重症化予防に力を入れています。
心不全とは
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送ることができなくなる状態です。
原因には心筋梗塞や心筋症、心臓弁膜症、不整脈など様々な心疾患、貧血や慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病など心疾患以外の病気、高血圧症、睡眠時無呼吸症候群などの心負荷の原因になる種々の背景が存在します。特に以下のような症状に注意が必要です。
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息切れ、疲れやすさ
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むくみ(特に足や顔)
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体重の急激な増加
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夜間の咳や呼吸困難
これらの症状は初期には軽く、見逃されがちです。
早期発見が重要な理由
心不全は進行性の病気です。
早い段階で発見することで、以下のような効果が期待できます。
✅ 入院や救急搬送のリスクを減らせる
✅ 薬物療法や生活習慣改善が効果的に作用する
✅ 心機能の低下を抑制できる
✅ 日常生活を自立して送れる期間が長くなる
当院では症状のない段階からの診断を重視しています。
当院で行う検査
当院では心不全の早期診断のために、以下の検査を行っています。
🔹 心電図・ホルター心電図
不整脈や心拍の変動を確認します。
🔹 心エコー検査(心臓超音波)
心臓の形や動きを詳細に評価し、心機能を調べます。
🔹 胸部X線検査
心臓の大きさや肺うっ血の有無を確認します。
🔹 血液検査(BNP・NT-proBNPなど)
心不全の診断や重症度評価に役立つ指標を測定します。
これらの検査を組み合わせ、総合的に診断を行います。
重症化予防への取り組み
心不全が見つかった場合、当院では以下の取り組みを行います。
✅ 薬物療法の最適化
エビデンスに基づいた治療を個別に調整します。
近年の薬物療法は目覚ましく発展しており、β遮断薬、ARNI、SGLT-2阻害薬、MRAといったFantastic fourと呼ばれる心不全の増悪予防による再入院を減らしたり、死亡率を低下させる可能性がある重要な薬剤に関するエビデンスが蓄積されています。ただ、導入や維持管理にはたくさんの診察経験が必要と考えます。コミュニケーションをとりながら適切な治療を調整していきます。
✅ 生活習慣の指導
当院には心不全療養指導士の資格を有する看護師が在籍しています。
具体的な生活療養費指導を実践し、心不全手帳を使いながら減塩・体重管理・運動の指導を行い、再入院を防ぎます。
✅ 定期的なモニタリング
経過を丁寧な診察を行い、身体所見、心電図、X線、血液検査(NT-ProBNPなど)を追跡し、悪化の兆候を早期に察知します。
経験豊富な生理検査技師によるエコー検査を予約制で行っています。
✅ 多職種連携
必要に応じて専門医療機関とも連携し、切れ目のないサポートを行います。
📝 まとめ
心不全は早く気づくほど、進行を遅らせ、安心して暮らすことができます。
「少し息切れしやすい」「むくみが気になる」「心臓に不安がある」など、気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。
当院では循環器専門医が丁寧に診療し、一人ひとりに最適な治療と生活支援を提供いたします。