心雑音を指摘されたら
健康診断や特定健診で聴診をしたり、かかりつけ医の先生に心雑音を指摘された場合、以下のような可能性が考えられます。必ずしも心疾患では無いかもしれませんが、心疾患やその他の心臓に影響を与える疾患が隠れているかも知れない、と考えいったんチェックすることをお勧めします。
- 小児や若年者での心雑音
学校検診をやっていると、心雑音が聴取されることがあります。小児や若年者では出生時に心雑音を指摘されたことがある場合、心エコーなどのチェックを受けたことがあるかもしれません。心房中隔欠損症や心室中隔欠損症が成長とともに、欠損孔が自然閉鎖することがありますが、残存していると大人になって症状をきたすことがあります。また、弁膜症が顕在化することがあります。また、若年者で心臓突然死の原因になりうる肥大型心筋症は、心雑音や心電図異常を機に発見されることがあります。今までに指摘されたことがない、もしくは指摘されていても心エコーなどのチェックを受けたことがない場合には、一度心エコーを受けることをお勧めします。学校検診で指摘された場合など、ご相談ください。
- 高齢者での心雑音
今までに特に指摘されていなかったものの、心雑音を指摘された、レントゲンを撮った際に心拡大を指摘された、足にむくみが出てきたなどの症状があった場合には、心臓弁膜症などの心疾患を疑って心エコーなどのチェックを受けることを勧めます。動脈硬化性疾患と同様、心臓内の弁に動脈硬化が進むと、スムーズに弁の開閉ができなくなり、逆流したり、弁が開かずに狭窄し血流が滞ることがあります。また、心筋症(閉塞性肥大型心筋症など)や肺高血圧症といった弁膜症以外の疾患、貧血などの心臓以外の疾患の可能性も考え、チェックすることが望ましいと考えられます。
高血圧症や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は動脈硬化を進展させ、血管が狭くなったり詰まって狭心症や心筋梗塞、脳血管障害をきたすだけでなく、心臓弁膜症をきたします。頸動脈エコーなどと併せて、評価を行います。
現在、心臓弁膜症は従来から行われている外科手術だけでなく、経カテーテル大動脈弁置換術後(TAVI)や経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)などカテーテル手術やロボット支援下弁膜症手術やMICS(低侵襲心臓手術)といったより負担の少ない手術が目覚ましい発展を遂げています。早期に発見し、適切な時期に診断するからこそ、こういった治療の選択肢の中から、より良い選択肢を選ぶことができます。
心臓病かもしれないと思ったら、怖いかもしれませんが、目を背けずに積極的に調べるようにしましょう。患者さんによって症状の程度はさまざまで、無症状の人もいます。「ドキドキする」「胸が苦しい」「階段や坂を上るのがきつい」「息が切れやすい」「疲れやすい」などの訴えが多く、手首や頸部(首)の脈をとると、「速くなったり、飛んだり」を不規則に、間隔がバラバラの脈になります。過労やストレスが原因で引き起こされたり、アルコールを飲んだ後に起こることも少なくありません。一方で前述のとおり無症状の方もいます。心房細動自体は、動悸などの症状の有無にかかわらず、致死的な病気ではありませんが、以下のようなリスクが伴います。
・「動悸」「息切れ」「疲れやすい」などの症状が強い人は日常生活に支障が出ます
・心臓の機能が低下して心不全を引き起こすことがあります
・定期的なチェックで、適切なタイミングでより身体の負担が少ない治療の選択肢を選びましょう。
心雑音を指摘された際には、必ず専門医への受診をしましょう。